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8月号 「映画『春を背負って』を観て」

8月号 「映画『春を背負って』を観て」

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映画「春を背負って」を観て

                                  

忙しい中でも映画だけは見るようにしている。期間限定で、東京のどこそこでやっているとなると、見に行きたくても行けないことが多いが、全国上映の作品なら3時間程度の時間の都合をつければ、鴻巣や菖蒲、加須で見ることができる。先月は、「アナと雪の女王」と「春を背負って」を見た。

「アナと雪の女王」は日本語版で見た。ストーリーは在り来たりと言えば在り来たりなのだが、評判どおり松たか子や神田沙也加、May Jの歌が素晴らしかった。ああいう作品は、テレビでさっとストーリーだけを追うものではなく、映画館で音の世界にたっぷりと浸り楽しむものなのだろう。

「春を背負って」は山を舞台にした作品なので、ご覧になった方も多いと思うが、「剣岳点の記」の木村大作監督の最新作ということで、やはり本物の山岳景観の迫力を楽しむことができた。原作は奥秩父の山小屋の話なのだが、映画では舞台を立山連峰に移し、移りゆく立山の大自然が余すところなく木村監督のカメラによって切り取られている。ご覧になった皆さんには説明するまでもないが、ストーリーは、多額の金を動かすトレーダーの仕事に虚しさを覚え、父親の死をきっかけに山小屋を継ぐ決心をした亨(松山ケンイチ)と小屋で働く従業員・愛(蒼井優)、小屋で働きながら亨の成長を見守る父親の後輩・悟郎(豊川悦司)を中心に展開する。多忙な都会の生活で居場所を見失いつつあった亨、かつて心に深い傷を負い居場所をなくした愛、居場所を求めて放浪している悟郎さん、この3人が大自然の中に居場所を見つけ、互いを必要とすることで絆で結ばれていく。「剣岳点の記」では、山を舞台に仕事に誇りを持ち、それをやり遂げようとする人間の姿を描いた木村監督だが、今回は、山を舞台に、山の大自然に心の拠り所を置いて、その中で生きていこうとする人間たちの姿を描いたホームドラマを作ったと言えるのかもしれない。

3人以外にも、小林薫、吉田栄作、仲村トオルなど実力派の俳優たちが多数出演しているが、特に蒼井優の自然さ、明るさ、素直さが心に残った。さばさばとしたボーイッシュな部分と女らしい部分が混ざり合い、独特の存在感と魅力があふれ出ていた。

「自分の居場所を求めて旅しているのが人間だと思う」と木村監督は話しているが、この映画を見ながら、私の居場所はどこだろうか?私は自分の居場所に辿り着けたのだろうか?などいろいろなことを考えた。木村監督が言うようにきっと「人生とは自分の居場所を探す旅」なのだろう。私たちは、自分の居場所を探しながら、いろいろな人に出会い、いろいろな出来事に遭遇していく。そんな中、私たちの「さいたま山に親しむ会」も、居場所探しの旅の途中で出会った出来事の一つであり、出会った人なのだろう。私たちの会はとてもとても小さな会であり、これは本当にささやかな出会いなのだろうが、この出会いが、皆さんにとって掛け替えの無いものになり、ささやかでも居場所探しの一助になれたら、私にとってそんな幸せなことはない。さあ、夏山本番です。大いに山に行き、交流を深めましょう。

 上野 司

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